気分は上々、頭の中はキャンプ一色！

出発の前日、達也のソロテントを準備したということは、
残るは長男Ｋ介のみということです。
生意気なわりに、実のところは臆病者のＫ介がどうするか…？

買い出しから帰ってきてから、
嫁さんの様子がなんだか…？なことになっていました。

「ちょっと出掛けてくるから。ご飯の準備は宜しく」

不思議には感じましたが、あまり深追いして今までの苦労が水の泡になってはいけないので

「どうぞ×２」と、私。

この時の私は、リビングにあったコールマンのカタログのあるページに
折り返しがあるのに気づいていなかったんです。

嫁さんが出掛けて私が夕飯の支度をしていると、今度はＫ介です。

内心、やっぱりオレも一緒に…か？などと期待をもちつつもＫ介が話し掛けてくるのを待っていると、

「あんさ～、オレ、自分専用のパソコンが欲しいんだけど…、いいっしょ？」

「…」

ちょっと期待してました。でも、やっぱりそんなことか。


吐いたため息が全部出切る前に私の頭の中に閃光が。

私は自分の思いついた事をＫ介に悟られないように、
いかにもオヤジらしくかつ、もっともらしく

「でもなぁ、オマエのあの部屋、いったいどうなってるんだ！
足の踏み場もない！埃だらけでパソコンなんか置ける訳ないだろ！」

「…」
パソコン欲しさに耐えるＫ介です。

「最近は勉強だって手抜きばっかりで、リビングで寝そべって宿題なんて、何考えてるんだ！」

「…」
Ｋ介、耐えてます。

「オマエの机の上見てみろ！ワケの分からないゴミで埋もれているじゃないか！」
この時とばかりに私。コレも作戦のうちです。

「こんなんじゃ今すぐはムリだ！」

「？」
一瞬、まばたきが止まるＫ介。

少しの間の沈黙（もちろんわざとです）。

「今年いっぱいガマンしろ。その間、週イチで部屋の掃除しろ！机の上は常に綺麗に！
もちろん勉強は机に向かってだ！三日坊主じゃダメだ、ちゃんと続けられるか！」

鬼いや、嫁さんの居ぬ間に威厳を見せるオヤジです。

なんとか頷こうとするＫ介に

「それともう一つ、明日キャンプに行くこと！」
弱みに漬け込む卑怯なオヤジです。

「…わかったよ、しょうがねェ」
頷くしか術のないＫ介でした。


と同時に私のケータイが。

松っつぁんいや違います嫁さんからでした。