気分は上々、頭の中はキャンプ一色！

哀しく、そしてあまりにも切ない…、
だけどハッピーエンドに終わった「JINー仁」完結編。

物語の最後に、現代に戻った南方仁が一人、公園で読む咲の手紙…、



◎◎先生へ
先生　お元気でいらっしゃいますでしょうか
おかしな書き出しでございますこと　深くお詫び申し上げます
実は　感染症から一命を取り留めたあと どうしても先生の名が思い出せず
先生方に確かめたところ　仁友堂には　そのような先生などおいでにならず
ここは　わたくし達がおこした治療所だと言われました
何かがおかしい　そう思いながらも
わたくしもまた　次第にそのように思うようになりました
夢でも見ていたのであろうと
なれど　ある日のこと　見たこともない　奇妙な銅の丸い板を見つけたのでございます
その板を見ているうちに　わたくしは　おぼろげに思い出しました
ここには　先生と呼ばれたお方がいたことを
そのお方は　揚げだし豆腐がお好きであったこと　涙もろいお方であったこと
神のごとき手を持ち　なれど　決して神などではなく
迷い傷つき　お心を砕かれ　ひたすら懸命に治療に当たられる
仁をお持ちの人であったこと
わたくしはそのお方に
この世で　一番美しい夕日をいただきましたことを　思い出しました
もう名も　お顔も　思い出せぬそのお方に　恋をしておりましたことを
なれど　きっとこのままでは　わたくしは　いつか全てを忘れてしまう
この涙のわけまでも失ってしまう
なぜか耳に残っている　修正力という言葉
わたくしは　この思い出を無きものとされてしまう気がいたしました
ならば　と　筆をとった次第にございます
わたくしがこの出来事にあらがうすべはひとつ 　この思いを記すことでございます
◎◎先生
改めて　ここに書き留めさせていただきます
橘咲は　先生を　お慕い申しておりました
橘咲

ドラマ史上に残る名文、名シーンであったと思っております…。

でも、私…ちょっと、あらぬことを考えてしまいました。
咲はもちろんですが、
ほかにも南方仁先生に手紙を書きたいと思っていた人はいるんじゃないかと…。

同じ時を過ごし、仁が現代に戻っても心のどこかではやっぱり忘れられずに、
仁に、言いたいことがあったんではないかと…。

で、私の脳裏に浮かんだのは…、

なぜか、「ド・ド・ドリフの大爆笑～！」

だって、あったじゃないですか！「もしも何々がナニナニだったら…」ってのが。

そうです。
「もしも、手紙を書いたのが咲さんじゃなくて、★★だったら…」

では、こんなのどうでしょうか…？

「もしも、手紙を書いたのが咲さんじゃなくて、山田純庵だったら…」



◎◎先生へ
先生　御息災でお過ごしのことと拝察いたします
また礼を失した書き出しとなりましたこと　深くお詫び申し上げます
実は　咲様の一命を取り留めたあと
どうしても先生の御名を思い出せず
先生方に尋ねても　仁友堂には　そのような先生などおいでにならない
ここは　われら一同がおこした治療所だと言われました
何かがおかしい　さように思いつつも
小生もまた　次第にそのように思うようになりました
夢でも見たに相違なかろうと
されど　ある日　仁友堂の物置から　奇妙な小さな皿を見つけましてございます
その皿を眺めるうち　小生は思わず　十八番薬効ありｯと叫んでおりました
ここには　先生と呼ばれたお方がおいでになり
そのお方とともに　ぺにしりんをつくり出したこと
醤油屋のごとき知識を持ち　なれど　決して醤油屋ではなく
迷い傷つき　お心を砕かれ　ひたすら懸命に青ｶﾋﾞを探される
仁をお持ちの人であったこと
そして小生はその先生に
この世で　一番恥ずかしい｢大腿静脈という､股の付け根にある動脈の少し内側にある太い静脈｣を咲様とともに見られたことも　思い出しました
もう御名も　御顔も　思い出せぬ先生に　大事なところを見られてしまったことを
されど　きっとこのままでは　小生は　いつか全てを忘れてしまう
この涙のわけまでも失ってしまう
なぜか心に残っている　十八番薬効ありｯという言葉
小生は　この思い出をも無きものとされてしまう気がいたしました
ならば　と　筆をとった次第にございます
わたくしがこの出来事にあらがうすべはひとつ
この思いを記すことでございます
◎◎先生
改めて　ここに書き留めさせていただきます
山田純庵は　先生を　密かにお恨み申しておりました
山田純庵



つぎ、「もしも、手紙を書いたのが咲さんじゃなくて、佐分利祐輔 だったら…」



◎◎先生へ
先生　達者でいてはりまっか
なんやおかしな書き出しやと思わはりますやろなぁ
実は　咲はんの一命を取り留めたあと
どうしても先生の名が思い出せまへんよって
先生方に確かめたんですわ　そしたら仁友堂には
そんな先生なんぞいてはらへん
ここは　わいらがおこした治療所やと言われましてん
何かおかしいわ　思うても
わしもまた　だんだんそう思うようになりまして
夢でも見てたんちゃうかいうて
せやけど　ある日　見たこともない　けったいな四角い布切れを見つけましたんや
その布を見とるうち　わし　ぼんやりとやが思い出しました
ここには　先生と呼ばれたお方がおって
その布は　鈍いｼｲﾄやらいうもんで　呪いのｼｲﾄとちゃうでいうこととか
神さんみたくな手ぇ持ってはるんやけど　ちょっとも神さんやなく
迷うたり傷ついたり　泣いたり吠えたり　ややこしい治療に当たられる 仁を持ったはるお人やった
わいらはそのお人に
この世で　一番むつかしい脳腫瘍たらの講義をうけたことを　思い出しましてん
もうお名も　お顔も　思い出せまへんのやけど　ひとつ約束をしておりました
そやけんど　きっとこのままやったら　わいら　いつか全てを忘れてしまう
この約束までも失のうてしまう
なんでか耳に残る　腑分けいう言葉
わいら　この約束も無いもんにされてしまう気ぃしましたんや
それやったら　と　筆をとった次第にござります
わいらがこの出来事にあらがうすべはひとつ
この約束を記すことでございます
◎◎先生
改めて　ここに書き留めさせていただきます
佐分利祐輔は　先生を　腑分けしとうございました
佐分利祐輔


つぎ、「もしも、手紙を書いたのが咲さんじゃなくて、喜市 だったら…」



◎◎せんせいへ
こんにちわ　おげんきですか　おいらはげんきでやってます
じつはこないだ　あんどうなつを持っていったんだけど
おいら　どうしてもせいせいの名前がでてこなくて
他の人に聞いても　じんゆーどーに　そんなせんせいはいないって言うんだ
何かへんだな　と思ったんだけど
おいらも　だんだんそうかなぁって思うようになってさ
きつねに化かされたんかなと
だけど　さっき　枝豆ゆでてたら　きゅうに思いだしたんだ
ここには　せんせいというおじさんがいて
馬にけられたかーちゃんを　たすけてもらったこと
おいらのかーちゃんべっぴんだから　いっしょになってくんねーかなーって思ってたこと
それから　しゅじゅつのお代は高いから
おいら二十すぎまで　せんせいに枝豆もってかないと　せんせい　そんしちゃうんだってことも　思いだしました
もう名前も　顔も　思いだせないけど
このままだと　かーちゃんしんだとき　せんせいの方がわんわん泣いてくれたことも　ぜんぶ忘れちゃいそうなんだ
だから　てがみのかきかたとか、かんじとかを咲さまにおしえてもらいました
おいらができることは　これでせいいっぱいです
◎◎せんせい
ここでだけ　ほんとのきもちを書きます
きいちは　せんせいに　おいらのとーちゃんになってほしかったです

喜市


つぎ、「もしも、手紙を書いたのが咲さんじゃなくて、栄さん だったら…」



◎◎先生へ
先生　お元気でいらっしゃいますでしょうか
おかしな書き出しでございますこと　深くお詫び申し上げます
実は　咲が感染症から一命を取り留めたあと どうしても先生の名が思い出せず
先生方に確かめたところ　仁友堂には　そのような先生などおいでにならず
ここは　咲達がおこした治療所だと言われました
何かがおかしい　そう思いながらも
わたくしもまた　次第にそのように思うようになりました
夢でも見ていたのであろうと
なれど　ある日のこと　見たこともない　奇妙な丸くて甘い食べ物を見つけたのでございます
その食べ物を見ているうちに　わたくしは　おぼろげに思い出しました
そこには　先生と呼ばれたお方がいたことを
そのお方は　咲の揚げだし豆腐がお好きであったこと　何年経っても中途半端な髷をお結いであったこと
神のごとき手を持ち　なれど　決して神などではなく
私が話しかけると　いつもおどおどしながら　返答されていたこと
仁をお持ちの人であったこと
わたくしはそのお方に
脚気の病より　命を救って頂いたことを　思い出しました
もう名も　お顔も　思い出せぬそのお方に　頭をお剃りになってはと申し上げたこともありました
なれど　きっとこのままでは　わたくしは　いつか全てを忘れてしまう
この涙のわけまでも失ってしまう
なぜか耳に残っている　安藤奈津という言葉
わたくしは　この思い出を無きものとされてしまう気がいたしました
ならば　と　筆をとった次第にございます
わたくしがこの出来事にあらがうすべはひとつ 　この思いを記すことでございます
◎◎先生
改めて　ここに書き留めさせていただきます

私の揚げ出し豆腐は咲よりも美味しゅうございます

橘栄


本日は、このへんで…。

続きは、保障しませんのであしからず。